永井LEE/ソーイングマシーン
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web/真説ソーイングマシーン
ソーイングマシーンというバンドでヴォ−カルをやっております永井LEEです。
久しぶりに筆をとらせていただきます。このように1年というものを振り返るにあたって、取り留めもなくCDショップへ行ってCDを買い続けている自分に毎度毎度ぶち当たるのでありますが、こうして五つばかりのささやかな出会いとして思い返してみれば、やっぱりいいものに接する喜びには変えられない、結局自分は何の反省もなく次の年も取り留めなくぶらりと中古盤屋など訪れるのでありましょう。何と言ってもレコードは"FANTASY"なのですから、わくわくさせてくれるなら何度でもそこへ行くさ!てなもんで:
■GEORGE HARRISON/Electroic Sound
(TOCP-50067)
やはりこの人について書かなきゃいけないです。命日が自分の30の誕生日になってしまったがために、もはや忘れようのない刻印として2001年11月30日は永遠に…あ、ちとクダラないですな、稚子様が内親王御出産のため病院入りしたニュースでテレビのニュースは持ちきり、飲み屋のテレビでそれを眺めつつ胸のうちでは口惜しさを噛みしめて苦いビールをすすった(実話)さて、気をてらったチョイスと思われるであろうこの「電子音楽の世界」、Apple傘下Zappleレーベルからの2作のうちの1枚、ム−グ・シンセサイザーのみでジョージが作り上げた驚愕のオールインスト作ですが、2001年はあの忘れじの電子楽器、テルミンが日本で大ブレイクしたこともあり、次はやはりこれだ!とばかりにム−グの生まれたての頃の新鮮な音色のショウケースと言えるこのアルバムをプッシュしたいと、こう思う訳です。実際、かなり完成度高いと思いますよ。A面の、「マージーの壁の下で」など、冒頭の港のノイズを思わせる下りといい、細やかな情景描写になっていると思われる。
そしてときに大胆に音色を跳躍させて、電子音の破壊力も堪能させてくれる。ジョージ自身によるジャケットのペインティングも、初期のドット数の粗いCGを彷佛とさせるプリミティブさがとってもよいです。テクノへの影響は薄いとはいえ、その大胆かつ瞑想的な全体のコ−ディネイトは今はピンと来るモノがあるのではないでしょうか。
あらためて、ありがとう、安らかにお眠り下さい。ジョージ。
■JETHRO TULL/The Bery Best of
(TOCP-65878)
デジタルリマスターで新たに出たジェスロタルのベスト盤ですが、ホント聞いて聞いて聞きまくってしまいました。彼らのベスト編集盤て実はかなりの数出てるんですよね。欧米では未だ絶大な人気を誇るカリスマ的な存在なんでしょうねえ。素晴しいフルートと吟遊詩人的なキャラクターのIan
Andersonはいまだに往時のテンションを持続してガンガンライブもやっているそうなので、ぜひ来日して大暴れして欲しいです。
でも最新アルバム(輸入盤屋では見かけないな…)のタイトルが"TULL DOT COM"というのには笑えます。彼らのアルバムで好きなのは今は"Thick
as Brick"かな。トラッドフォーク的弾き語りとアグレッシブなバンドアンサンブルは気持ちいい恍惚感があります。
■CAMBERWELL NOW/All's Well
(RecDec1015)
Charles Hayward関係のアルバムにのめり込むようになったのはあのNYテロの報道の後でありましたか。彼が以前の湾岸戦争への批判を込めて発表したソロ"SWITCH
ON WAR"は未聴なのですが、内省と問いかけが同じ響きを持つかのような彼の音もまた気持ちよく、随分と聞きまくりました。
単独で行った来日公演をまとめたCDなどを今さらながらに聞いたのが自分にとってのことの始まりでして、ドラムタタキ語り、といってしまえばそれまでですが、ポップの作曲法から全く外れてクラシックやトラッド的なのにポップであって、その凄まじい演奏力もさることながら実に揺るぎない、核心のみでつくられた音楽ということに感動したんですねえ。
こういうことは本当に意志が強くないと出来ない。だって、ブルースとかコブシだとか、すぐ気分よくてみんなも楽しめる方へ行きたくなるもん。
腰振って酒飲んでYeah!てなもんですよ。そういう下世話さとは無縁なのに彼の音楽は酒や食い物にとても合う気がします。
■モスト/MOST
(PCD-5647)
突如活発に動き出した(ように自分には見えた、すみません)Phewの山本精一氏らとのパンクバンドは、やはり脳天突き抜けるほどカッコよかった。丁度あぶらだこも新作出して活発に活動しているのと合わせて、若手にはなかなか出せないスリリングな手応えを、2枚から感じました。新宿の大型輸入盤店でのインストア/サイン会に行けなかったのが心残りですねえ。「絵になるためだけに」は名曲。
■宮沢正一/人中間
(WC-013)
遠藤ミチロウ氏のソロ弾き語りを何度か見る機会がありましたが、彼がアコースティックギターをかなりエッジの尖ったガリガリした音にするのを見て、ノイズとうたの関係は、日本では独特な関係を保っている気がします。ミチロウ氏がプロデュースしたこのアルバムも、エレキギターとうたのみの簡素な世界ですが、鋼鉄と鉛と地鳴りだけで成り立っている音響と、怨念が結晶したかのような声には柔らかいという部分が全く存在しない。グル−ヴの無い隔絶した空間の中、ひたすらひたすら吐出されるうたに、凄く日本的なものを感じるのです。
何だかそういうことってよく分からなくなっているじゃないですか。
いまよくいわれる昭和歌謡テイストだって、実際には大陸から来ているとか、浪曲なのか、根っこは至極曖昧で、どういうところがルーツなのか、意識すればするほど分からない。そんなことを考えてはみますがこのアルバムに漂う霊気のせいか、これは凄く日本的だと思うのです。
当初はルドンの絵画を使ったジャケットに魅せられただけだったんですけどね…。
(2002.1.18)