【執筆者一覧】
フルタツ 99.8.28.
 (サイケピンキーズ)
永井LEE 99.8.19.
 (SEWING MACHINE)
ヒロセ 99.6.8.
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ばんでぃー 99.6.20.
 (ゴールデン・フォー)
平田徳雨 99.8.10. 2/5
 (シノワ)
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 (シノワ)
アダチカツノリ 99.10.19.
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フルタツ
(サイケピンキーズ) f-psyche@ja2.so-net.ne.jp


■ノンジャンル
僕の音楽との付き合いは0歳から母親が聴かせたクラシックから始まります。僕のバンドのドラマーは自称「今まで女が切れたことがない」というヤツですが、僕は生まれてから音楽が切れたことがありません。そりゃまあ大学の一時期とかいろいろあって興味が薄れたとかは何度かありますが、結局戻ってきてしまいます。

今回の標題である「ロック」との出会いは10歳ぐらいだったかな。これが当時まだ「不良の音楽」と言われていたロックに急にシフトしちゃったもんだから、せっかくクラシックを聴かせてきた母親の嘆きようったらなかったですね。でも僕は昔から気に入れば何でもという体質だったから、ロック・クラシック・ジャズ・歌謡曲・ヒーロー主題歌・アニメ主題歌・ゲーム音楽などと今も好きなジャンルが固定しません。
つまり新聞とか電話の勧誘はすぐに追っ払うくせに、音楽に対してはいつでもOKのおっぴろげ状態、というワケです。だから何が好きかと聞かれるのはすっごく困るけど、とりあえず「ロック」と答えてしまい、いつも何か変だよなと思っています。


■FMエアチェック
その昔、子供の頃はレコード(今で言うアナログ盤)ってのは贅沢品であり、高級品でありました。お金持ちの家に生まれることができなかった僕は、アルバム1枚買うのに当時の小遣いでは数カ月も貯めなくてはいけなかったのです。レンタルレコードが普及するのはずっと後のこと。そんな子供がロックの音源を手に入れる有効な手段にFMのエアチェックというのがありました。そこそこクリアなステレオ音質が、録音用のカセットテープ代で得られるのです。僕はFM雑誌を購読し、番組表をまるでエロ本を熟読するかのように隅から隅まで見て音源を集めていきました。当時それで聴きまくったものは、現在に至るまでの自分に相当な影響を与えています。ロックの原点はこのFMエアチェックにあると言ってもいいでしょう、なんて言っちゃうと貧乏くさくてカッコ悪いけど。


■アナログ盤とカセットテープ
初めてCDを聴いた時、その簡便性とクリアな音質にショックを受けました。しばらくはバンドの練習とかでCDはいい、いいとメンバーに触れ回って煙たがられていたことが思い出されます。

僕はアナログ盤がキライでした。あれをレコードプレーヤーに載せて針を落としてってのがとてつもなく面倒くさい。しかもすぐ傷やホコリがついてそれが雑音になってしまう。だから保管にも気を遣わなくちゃいけない。と僕にとっては負担を強いられることばかり。手がかかるのが楽しい人もいるでしょうが、自分はそうじゃない。だからその当時はレコード買ったらすぐにカセットテープに落として聴いてました。先のFMエアチェックにしてもそうだけど、たとえ音質が劣化しようともカセットテープが欠かせないものでした。

そんな経緯があるもんだから、CD出現は永年の呪縛から自分を解き放ってくれる、神の導きのようでありました。でも今あらためてレコードをながめてみると苦労して集めた時代が思い出されて、あんなにキライだったものもいとおしいような気がしてくるのです。


■ダビング装置
2、3でお分かりのように、僕はカセットテープへの依存度が高かったために音源も分散しがちでした。だからいつもまとまったカテゴリーやアーティストで聴きたい、という欲求が自分を掻き立てていました。そう、ダビング編集作業の必然性です。そのインフラとして音をステレオダビングできるカセットデッキ2台とかっていうのが必要になるワケですね。さすがにデッキ2台ってのは予算的・場所的にも厳しいので、ある時は再生側がウォークマンだったりダブルラジカセだったりしたんですが、この設備は欠かせないものでした。今でこそパソコンのデジタル録音やCD-Rなどと便利なものがありますが、昔は音を複製すると言えばこんなものでした。しかしステレオである程度の音質で編集できるようになったあの頃は、とてつもない興奮を覚えていたものです。つくづく平和な時代だったな。

この傾向はその後映像方面へも受け継がれます。ビデオの普及によりロック映像も数多く観れるようになりましたが、ここでも僕はダビングにとり憑かれます。映像をダビングできるようになるのはサウンドよりもずっと後になってのことですが、それでも部屋にビデオデッキが2台置かれるのにさして時間はかかりませんでした。バンドのメンバーには今だに揶揄されるけど、これのおかげで自分らの映像も観れたんだぜ!自己研鑽にも一役買ったの否定できまいて。
というわけで著作権にうるさい団体とかには嫌がられるでしょうが、僕は常に「複製が作れる環境」にこだわってきました。

■ロックな5枚
最後に「俺ロック史」を語るに欠かせない、僕の愛聴盤をご紹介します。

The Piper At The Gates of Dawn/Pink Floyd
狂気の世界へ行ったきり戻って来なかったシド・バレット率いるピンク・フロイドのデビューアルバム。ビートルズ的ポップさと当時のサイケデリックやバレット独自の世界観、エレクトリック・ミュージックの探究といった要素がいっぱい詰まったサウンドです。「ヘヴィすぎてもう聴けない」とか「今さら何を」という意見も数多く聞きましたが、僕にとっては1つの完成形・理想形としての音楽がここにあります。

Axis: Bold As Love/Jimi Hendrix Experience
日本ではジミヘン、ジミヘンと気安く呼ばれながらも、一体どのくらいの人が本当にその音楽に触れているのか分からない、ジミ・ヘンドリックスのセカンドアルバム。
収録曲はとても地味(ギャグみたい)なんですが、僕は未だにこれを彼の最高傑作として愛聴しています。ノイジィなフルボリューム・ギターサウンドとメロウな楽曲が同居した、はからずともその対比が素晴らしく大好きな作品です。歌を聴けば分かりますが、ジミ・ヘンドリックスという人はメロディを作り込むというのではなく、サウンドとフィーリングだけで音楽が作れてしまう、まさに天才です。

ジャックスの世界/ジャックス
初めて「からっぽの世界」を聴いた時の衝撃は忘れられません。随分と後追いで聴いたのに、演奏の稚拙さなんかブッ飛ばす恐ろしい作品です。まったく包み隠すことのない、早川義夫氏の純粋な心情吐露が聴く者の心にダイレクトに響いて、こっちが勝手に打ちのめされていくのです。単なるメッセージ音楽と違って楽曲もよくできてるし。以前に酒の席で「歌詞で言いたいことがあるなら文章書きゃいいじゃないか」なんて絡んできたヤツがいましたが、文章で書けるんだったら音楽なんかやる必要ないって、ジャックス体験をした僕は平気で言えるのです。

So Far/Faust
僕は音楽に惹かれる一方で「アンチ音楽」にも強烈に惹かれます。この作品にはどこかで聴いたことがあるような懐かしいメロディや、陳腐なまでの甘ったるいフレーズ、あるいは無機的なファズギターのサウンドなどが散乱しており、それが様々なイメージを呼び起こしてくれます。しかも通常の楽曲にあるような起承転結が殆どありません。音楽に愛着を抱くのではなく、この突き放した態度がショックでした。構築するのではなく解体していくというか、それによって裸になって本質が見えてくるというか、音楽を踏みにじって自分を浮き彫りにして高めていく行為なのか、ひょっとして表現活動の根本的な姿勢ではないのか?とても言葉では説明できません。

Pet Sounds/The Beach Boys
このアルバムはいろんな場所で語られていて、今さら僕が言うことはありませんが、自分としてはまずハズせません。音楽をここまで追求し抜いて、しかもそれが精神レベルにまで達している類い稀な作品です。

(99.8.26)


 

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